国会前で連日抗議行動を続けた若者と熟年世代(2015年6〜9月)


No.404 「北の脅威」煽り維持した安倍強権政治破綻へ


●「目は口ほどに………」

 

 巻頭言の写真とエッセイの写真、両方を見比べていただきたい。板門店での南北両首脳夫妻と安倍晋三首相の表情だが、読者の皆さんは、どうお感じだろうか?

 「目は口ほどにモノを言う」との諺どおり、両首脳夫妻の表情は、これから朝鮮半島の平和実現に向けて歴史的な会談を行うという決意に満ちて晴れやかだが、一方、安倍首相の方は冴えない。

 つい先日、史上初の米朝首脳会談が行われることが決まり、その「前哨戦」としてのこの南北首脳会談が、38度線「休戦ライン」上の板門店・韓国側「平和の家」で行われ、「板門店宣言」を文在寅・韓国大統領、金正恩・朝鮮労働党委員長の両首脳が共同で発表した(表紙写真参照)直後、記者団からその感想を求められた時の安倍首相の表情だが、なんとも情けなさそうな顔つきではないか。

 

 近年、「北」の核実験やICBM試射などが続いて一時は米軍による武力攻撃さえ懸念されていた「朝鮮半島危機」。それが一転、「緊張緩和」へとすすみ、「休戦協定」だけで法的には戦争状態が続いていた「朝鮮戦争」が正式に終戦へと向かい始めるかも知れないという、まさに歴史的事態がわれわれの眼前で進行しているのだ。

 アメリカによる「北」の「体制保障」と引き換えに進められるという「非核化」やICBM開発の中止など、交渉の詳細は6月上旬までに行われる米朝首脳会談までに詰められるのだろうが、65年間進展のなかった「朝鮮戦争の終戦処理」にメドがつけられたことで、半島を含む東アジア、ひいては西太平洋の軍事的緊張関係が緩和に大きく前進することは疑いない。

 旧い言葉で恐縮だが世界の「平和愛好勢力」、とりわけ中国や当の半島、そしてわが日本など、アジアの広範な人々がこの動きを歓迎し、その行方を固唾をのんで見守るなか、「蚊帳の外」ひとりわが宰相だけが浮かぬ顔をしているその訳は、既にご推測のとおり。

 安倍晋三という人物は、「北」による「日本人拉致」問題を徹底的に利用し、それをテコに権力をモノにしたばかりでなく、政権を握ってからも「北朝鮮の核・ミサイル危機」を煽りながら日米軍事同盟を強化、戦争法たる安保法制を整備して集団的自衛権行使に道を開き、アメリカが引き起こす戦争の走狗として自衛隊を差し出し日本国民を動員しようとする愚行を推し進めてきた。

 安倍晋三にとって「危ない北朝鮮」は、彼の強権政治を推進する絶好の口実であり利用すべき政治資本だったのだ。その大切な「資本」がいまや彼の腕の中から滑り落ちようとしている。

 折しも首相の権力私物化の象徴たる「モリカケ問題」で財務官僚の公文書改竄が相次ぎ暴露され、自衛隊の日報隠蔽問題も隠しきれず、すったもんだの財務事務次官「セクハラ辞任」と麻生大臣の居直りなどで、支持率は3割を割り込む急落、3選めざす秋の総裁選はいまや出馬も危ういとの噂だ。

 

 「泣きっ面に蜂」、いや少々下品で恐縮だが、「転べば糞の上」という諺こそ、アベには相応しい。  (編集部N)