東京・4度目「緊急事態」、でも五輪は強行

                                2021年7月15日発行 №442

 


                          東京「メイン会場」前の五輪マーク(上)4度目の緊急事態発出に追い込まれた東京のコロナ感染状況(7月8日)


《巻頭言》

●パンデミックの中、東京五輪は、なぜ中止しないのか?

 

 菅政権は78日、コロナ感染症対策について、東京に4度目の「緊急事態宣言」を発出した(沖縄は「宣言」継続。埼玉・千葉・神奈川・大阪は「重点措置」継続。822日まで。北海道、愛知、京都、兵庫、福岡は「措置」解除)。

 

「ワクチン接種の加速化」で高齢者の感染・重症化を抑えこめば、「医療崩壊も防止」でき、あわよくば「有観客のオリンピック開催」に持ち込めるうえ、国民的に祝祭気分を煽り立てれば広島はじめ国政選挙3連敗など、積み重なった自らの失敗をチャラにもでき、ひいては来るべき自民党総裁選や衆院選での勝利も読める―そう菅義偉首相はふんでいたにちがいない。

 

それで全国の自治体に無理やり「ワクチン接種」計画をたてさせ「1日100万回以上」との発破をかけてはみたものの、喧伝した「ワクチン確保」の化けの皮はすぐにはがれて供給不足が露呈、ずさんな計画はすぐに破綻をきたした。東京・大阪では自衛隊まで動員した大規模接種作戦も展開したが、混乱の末、停止、一般の職域接種もワクチンの配布計画さえたてられない。接種の実務を差配する自治体や企業からは「無理して必死に準備したのに、はしごを外された」と猛烈な反発がおこった。

 

コロナ禍に苦しむ国民の救済には関心をよせず、感染拡大防止の「人流抑制」や「営業自粛」を要請しながら、他方で専門家たちの警告にも耳を傾けず感染拡大促進が明らかな大イベントの実行に突進する政府の身勝手さ――それに加え金融機関を手先に使って「営業自粛」への監視を進めようとする恫喝大臣の対応にはさすがに怒りが爆発寸前まで高まり、すぐさま発言撤回に追込まれた。

 

国民生活への無神経かつ無慈悲きわまりないこうした政権の対応への怒りは、74日投開票の東京都議選に端的にあらわれた。小池都知事の与党・都民ファースト(45→31)の敗北にもかかわらず自民党も議席回復に至らず、当初の楽観的予想(「50議席超」)も夢と散り33議席にとどまった。獲得議席も史上最低の前回(=23議席)に次ぐ低さで、目標の「自公与党で過半数」にもとどかなかった。

一方、五輪の中止や延期を主張した立民(8→15議席)・共産(18→19議席)両党は共闘関係を前進させ、議席を拡大させた。

 

五輪中止・延期の世論は6月段階でも6割を超えていた。にもかかわらず政権は、ほとんどが「無観客」に追い込まれながらも、このまま五輪開催を強行する腹だ。

 

いまや「ぼったくり男爵」の異名で有名なIOC・バッハ会長だが、商業主義の「五輪」がはじまったのが1984年「ロス五輪」からだ。

スポンサー企業集めやプロ選手の参加も解禁され、「アマチュアスポーツの祭典」という虚飾も剥がれ落ちた。以来、IOCは商業主義路線を突っ走ってきたのだ。それが五輪「パートナー」「サポータ―」制度や、巨額のテレビ放映権で、IOCは4000億円以上の協賛金を集めていると言われている。まさに巨額の「五輪マネー」が背後で蠢いているのだ。

日本でその利権を差配する元締め的存在が、あの悪名高い「広告代理店」最大手の電通。自民党「専属の」とでもいうべきか。公衆衛生など屁とも思わない、だが利権は絶対放さない連中なのだ。                                         (編集部N)