国会前で連日抗議行動を続けた若者と熟年世代(2015年6〜9月)


No.405 朝鮮戦争終結へ進むか、初の米朝首脳会談


《 巻 頭 言 》

 

●歴史的な反動派

 

 この原稿は6月8日に執筆しているが、史上初の米朝首脳会談を4日後に控えて、世界の注目はトランプ・金正恩両首脳の言動に集中している。

 

 正直、米ソ対立・南北対立が続いた戦後の時代、さらには冷戦構造崩壊後も東アジアで激しい対立関係にあった米朝両国――それを何十年もの間、「経験してきた」私たちの世代は、まさか「現役」の間に首脳会談が実現するとは予想だにしていなかった。ほんの半年くらい前には互いに「チビのロケットマン」、「老いぼれ狂人」と罵りあっていた「仲」なのだから、なおさらだ。

 

 しかし、世の中に「変化しないもの」など何ひとつない。錆付き固着して、動かそうとしてもビクともしなかった米朝関係の扉が、蝶番に根気強く潤滑油を注しつづけ、本気で力を加えたら、軋みながらも微かに開き、明るい光が一条、差し込んできた――。文在寅韓国大統領をはじめ、米朝関係・南北関係の改善を希求し尽力し続けてきた半島の人々の感慨を表現すれば、こういうことになるだろうか。

 

 もちろん、12日の首脳会談が首尾よく「成功」を収めたとしても、それは朝鮮戦争の終戦処理・和平協定締結や朝鮮半島非核化に向けたほんの「入り口」でしかないことは明らかだ。また、米朝両国はじめ中国や韓国など朝鮮戦争の当事者だった国々同士の複雑な利害関係の調整や交渉の「山」が立ちはだかり、懸案の数々が行く手を阻むことも考えられる。

 

 しかし、一度動き始めた歴史の歯車を逆回転させることはできない。けれども、そうした「悪あがき」を臆面もなく続けているのが、わが日本国総理大臣・安倍晋三だ。

 《巻頭言》掲載の写真をご覧いただきたい。米朝会談を直後に控えた6月7日、カナダでのG7サミット出席の途上、安倍首相がトランプ大統領と会談した折のものだ。トランプ氏に米朝会談の折「日本人拉致問題」を忘れずに提起してほしい――、対北制裁を継続してほしい――と懇願し、大統領から一応のOKをもらったときの「笑顔」だが、「外交の安倍」にしては卑屈ではないのか?

 

 「北朝鮮」による「日本人拉致問題」や「ミサイル、核開発」問題など、「北の脅威」なるものを煽り立て、「北」への「圧力」と「制裁」を壊れたレコード盤のように繰り返すしか能がないわが宰相。「北朝鮮」という「架空の敵・脅威」を捏造し、それを権力維持の「求心力」としてとことん利用してきた安倍晋三の手法も、そろそろ国民に見破られつつある。「拉致家族」もこの16年間、一人として帰国してはいないのだ。「外交の安倍」なる虚像も「悪い冗談」として唾棄される日も遠くはないだろう。なにしろ、米朝・南北緊張緩和の動きの中で唯一人「蚊帳の外」なのだから。

 

 「歴史に名を残したい」、「中間選挙に勝利したい」、「ロシアゲート事件での特別検察官の事情聴取を延期させたい」とか、トランプの動機の不純さの数々は今はおくとして、戦後歴代米大統領として誰もなしえなかった米朝首脳会談を実現することは支持すべきだ。それに比べてわが宰相のなんと反動的なことよ。           (編集部N)