トランプ軍拡の最前線に立たされる日本      

                             2019年11月15日発行 №422



〈巻頭言〉

 

◉中東の緊張、誰が高めている? 

        ーー米主導「有志連合」に独自参加の安倍政権

 

 この6月13日、ペルシャ湾・ホルムズ海峡付近でノルウェー(フロント・アルタイル号)と日本(コクカ・カレイジャス=パナマ船籍)のタンカーが砲撃、もしくは機雷による襲撃をうけ、火災が発生する事件が起きた(表紙写真参照)。

 

 その前月、5月にもオマーン湾でサウジアラビア、アラブ首長国連邦、ノルウェーのタンカー4隻を標的とする機雷敷設作戦がおこなわれており、アメリカは双方とも「イランの仕業」として非難。7月にはイラン革命防衛隊が、英領ジブラルタルでイランタンカーが英国に拿捕された報復として英タンカーをホルムズ海峡で拿捕している。

 

 こうしたなか、対イラン強硬派として知られるボルトン米大統領補佐官(当時)が5月に中東への空母艦隊とB52 戦略爆撃機部隊の派遣を表明、アメリカのイラン軍事攻撃の危険が一気にたかまった。米トランプ政権は緊張を高めながら、「ペルシャ湾から原油の恩恵を受けている国は、自分で自国のタンカーを守るべきだ」とのべ、シーレーン防衛のための「有志連合」の結成・参加を呼びかけた。

 

 かつて中東を植民地支配した欧米諸国とちがってイランとの伝統的な友好関係がつづく日本の安倍政権は、一方ではトランプの逆鱗に触れたくないので「有志連合への自衛隊派遣」に踏み切りたい、他方では政治的財産とも言うべき「イランとの友好関係」を壊したくもなくジレンマに陥っていたが、この10月18日、政府は「防衛省設置法」に基づく「調査・研究」の名目で、自衛隊の艦船・航空機をオマーン湾、アラビア海北部、バブルマンデブ海峡東側の公海に派遣する方針を表明した。「苦肉の策」といえなくもない。

 

 問題は、このような対応にも明らかなように、アメリカの顔色を伺いながら、その機嫌を損ねないようにその要求をつぎつぎ呑んでゆく安倍政権の対米従属政治だ。

 

 このペルシャ湾での危機の高まりも、いったい誰がうみだしたものなのか? イランなのか?

 いや、ことの始まりは、トランプ政権の中東・イラン政策の「逆転」からだ。いわゆるイランの核開発疑惑問題で2015年、イランと国連安保理常任理事国+ドイツ(P5+1)が最終合意し、イランが核施設の大幅縮小や軍事査察の条件付き受け入れを表明、原油の禁輸措置の解除など、対イラン制裁が緩和され、一触即発の危機は回避されていた。これはオバマ政権が主導したもの。それをひっくり返した張本人こそトランプ大統領であることは言を俟たない。

 

 昨年5月、トランプは合意からの離脱を表明、今年5月にはイラン産原油の全面禁輸、各国に輸入差し止めを求め、違反者に制裁を課すと脅迫、イランへの経済制裁を復活させた。「ペルシャ湾危機」なるものは、イスラエルびいきのトランプ(および米軍産複合体)が恣意的につくりだしたもので、オバマ時代には鎮まった火種なのだ。

 

 日本は、こうしたアメリカの狂犬のようなイラン制裁に加わらなければならない理由は、なにもない。

 ないものねだりだが、トランプの馬鹿げた政策を蹴る器量が、わが宰相にほしいものだ。

                                                            (編集部N)