「3・11」から10年、教訓は学ばれたか?

                             2021年3月15日発行 №438

 


                                   2011年3月11日 大震災当時の福島第一原発と東日本(左)爆発する3号機(右上)原子炉冷却作業


《巻頭言》

●福島第一原発「恐怖の真実」

 あの「3・11」東日本原発大震災から10年がたった。「十年ひと昔」というが、「昔話」では済まされない現在の深刻な問題が(えぐ)り出された。<焦点>に掲載する哲野氏の寄稿を注視いただきたい。「小刻みな震えが止まらなかった」というその福島第一原発の真実に、わたしたちは真剣に向き合わねばならない。

 

 先月、213日に起きた「福島県沖地震」のことを記憶されている方も多いことだろう。私自身も「10年経つのに、まだ余震?」と感じたのだが、さしておおきな被害も出ていないところから、そう気にも留めていなかった。だがしかし、である。

 哲野氏によれば、そう大きな地震とはいえない地震でも、福島第一原発には「致命傷」となる危険があるというのだ。事故で傷んだ原発は、ありふれた地震による打撃でも、原子炉圧力容器や格納容器が崩れる危険性があり、仮に、格納容器が「原型を保てないほど破損」すれば、おそらく原型をとどめない形でデブリと化した放射性物質が環境に流れ出す――その規模は2011年の事故の比ではない、というのだ(かつてこうした核燃料の「メルトスルー」を、「チャイナ・シンドローム」と呼んだたこともあった)。

 しかも、1~4号機は放射線量が高くて「人が近づけない」。「補強工事」どころか、「調査」もできない深刻な事態だという。

 

 このような状況に福島第一原発が陥っているということについて、政府はもちろん、東電も国民に何一つ知らせず、頬かむりしたままなのだ。「無責任、ここに極まれり」というべきだろう。

 問題は、こうした深刻な事態になっても、哲野氏が指摘するように、政府にも東電にも「危機感」がきわめて希薄なことだ。政府に至っては、既に「過去の人」になったのかどうかは知らないが、「東京五輪」誘致に際して「アンダー・コントロール」などと嘘八百を並べたてた「最高責任者」が典型だが、「原子力規制委員会」(更田豊志委員長)なる御用組織も、例外とされた老朽原発20年間稼働再延長を何例認めたことか。

 

また、あの巨大事故の直接の責任者たる東京電力に至っては、先の2月の地震に際して図らずも暴露されたことだが、比較的健全性を保っている福島第一原発5~6号機に地震計は設置しているものの、3号機に設置した地震計が故障したまま放置していた、というのだ。これでは、どれほどの打撃をこうむったのか測りようがないし、手の打ちようもない。

また、東電は1号機原子炉格納容器の水位低下も察知が遅れている。冷却に支障が出れば原子炉は溶融し放射性物質が環境にぶちまけられる、最も危険な事態に陥るのに、こうした体たらくなのだ。

 

 

 安倍前首相は「東北が復興した証の五輪開催」などといい、今また菅首相は「コロナに打ち勝った証に」という。両人とも口から出まかせのウソは平気でつくが、国民の安心・安全を保障することだけは無関心なのだろう。                         (編集部N)