「中国の脅威」口実に要塞化される琉球弧

                                2021年9月15日発行 №444

 


                            東シナ海を三日月形に包囲して自衛隊の基地建設が進む(上)/闘う宮古島の人々(住民連絡会の宣伝行動)


《巻頭言》

 ●自衛隊の「西南シフト」――再び本土の「捨て石」?

 

 まず、今号のタイトルにある「琉球弧」について、左の地図(本誌2頁参照)を一瞥ねがいたい。2020年版「防衛白書」に資料として掲載されている図表のひとつだ。かなり縮小したので文字は殆ど読めないが、九州南部方面から薩南の奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島をへて与那国島まで、東シナ海と太平洋を分かつように弧を描いて島々が点在しているのが、おわかりになるとおもう。

いま、この「琉球弧」の島々が自衛隊の「対中国最前線基地」として急速に要塞化・軍事化されている。

 

 この図は「九州・南西地域における主要部隊新編状況」(2016年以降、概念図)と題されているが、左上(右上は省力)から南に向かって

▽「2018年、陸自水陸機動団新編(相浦)=佐世保市」

▽「2019年、陸自奄美警備隊新編等(奄美)」、

▽沖縄本島・那覇「2016年、空自第9航空団新編/17年、同南西方面隊新編/同南西航空警戒管制団新編」、

▽宮古島「2019年、陸自宮古警備隊新編/20年、同第7高射特科群移駐/同、第302地対艦ミサイル中隊新編」、

▽与那国島「2016年、陸自与那国沿岸監視隊新編」――

となっている。

しかし、この図には示されていないが石垣島でもすでに自衛隊基地建設のための造成工事が19年から強行されていて、防衛省はここにも地対艦ミサイル(SSM)、地対空ミサイル(SAM)部隊配備する腹だ(5~600人規模)。また、奄美大島にはすでに巨大な自衛隊基地が建設されていて、対艦・対空ミサイル部隊が配備されている。

そして8月末に防衛省は、2023年度にも沖縄本島うるま市の陸自・勝連分屯地にSSM部隊を配備すると県当局に通告、既に配備した奄美大島、宮古島、配備予定の石垣島とあわせて南西諸島4か所の対艦ミサイル部隊を指揮・統制する本部機能を持たせる方針も明らかになっている。

ちなみに、沖縄本島へのSSM部隊の配備(これが初めて)によって、現状で射程200㎞しかない対艦ミサイルでも、290㎞ある「宮古海峡」を通過する艦船を沖縄本島、宮古島の双方から「挟み撃ち」にできる態勢が整ったわけだ。こうして南西諸島の自衛隊の規模は1万人を超えた。

 

けれど、このような自衛隊の「南西シフト」は、勿論、日本政府の「独自判断」ではない。その背景には、中国の太平洋進出を警戒して「第一列島線」とも呼ばれる「琉球弧」の西側、東シナ海に中国海軍を封じ込めておきたいアメリカの対中戦略がある。

しかし、いったん「台湾有事」のような事態がおこり米中の軍事衝突が発生するなら、自衛隊は自動的に米軍防護に駆り立てられ、要塞化された南西諸島は真っ先に攻撃対象とされる。

政府は再び沖縄を本土防衛の「捨て石」にするつもりなのか。

                                                            (編集部N)