薄氷「勝利」岸田新政権、幹部落選は相つぐ

                                2021年11月15日発行 №446

 


                  (写真上左)甘利自民党幹事長、(同下)平井元デジタル担当相=選挙区敗退・比例復活、(同右)石原元幹事長=落選(10月31日、開票速報より)


《巻頭言》

 

●野党共闘「失敗」の大合唱――他に選択肢はあるのか?

 

1031日に投開票された岸田新政権発足早々の総選挙。当選者数は、別表のとおり(本文参照)。

自公与党が数の上では「安定多数」は保持。しかし自民党は甘利明・現幹事長や石原伸晃・元幹事長、金田元法相や桜田元五輪相、さらには平井元デジタル相や若宮万博相など、現役の党役員や閣僚を含む「大物」議員が多数、小選挙区で敗退、比例「復活」という、結構みっともない事態となった。

 

とりわけ、岸田新政権の「後見役」とも安倍・麻生が差し向けた監視役ともいうべき甘利氏が、自民党幹事長として初めて小選挙区敗退(比例復活)という無様な姿を晒したことは、安倍・菅政権からひきつがれた金権腐敗、政治私物化、立憲主義破壊という自民党政治への国民の根強い怒りを岸田新政権に投影したものとみることができるだろう。「与党勝利」の内実は、彼らにとって決して「万歳」を叫べるような勝利ではなかった。

 

事実、「薄氷の勝利」でしかなかった。それを端的に表すものが、野党共闘が成立して「一対一」の対決構図がつくれた小選挙区(214区)での野党側の勝利数(62区)と、肉薄したが惜敗した区が32もあったことだ。なんと、末次候補(長崎4区・立民)は391票、吉川候補(大分2区・立民)は654票、大築候補(北海道4区・立民)は696票、中川候補(三重2区)は990票という僅差で敗退。他に1万票差以内で惜敗した野党一本化候補が28人もいたのだ。選挙制度から「単純比較」はできないが、これら32区の惜敗区で野党共闘側が競り勝っていれば、自民党の過半数割れ(232以下)は確実だったのだ。

 

大手メディアは今回の結果が判明するや「野党共闘路線は不発」と書き立て、野党第一党の立民や共産への「揺さぶり」をかけ共闘体制を瓦解させようとしている。

 連合をバックにした国民民主が、わずか3議席微増したことを野党共闘への批判の拡大と描きだして代表を自己陶酔させたのもその一環だ。そのくせ、れいわ新選組が1から3議席に拡大したことは殆ど話題にもしない。ちなみに議席数で「敗北」と喧伝される立民は17年の前回衆院選と比較して得票数では1108万4890万票から1149万2115票へ、得票率にして19・9%から20・0%へと微増している。「敗北」というほどのものではないのだ。

逆に聞いてみたいものだが、前回、小池百合子「希望の党」騒ぎで野党分裂のおり、「共闘すれば対抗できた」と野党批判を展開したのは大新聞ではなかったか?

 

もうひとつ、今回の総選挙で際立ったのが日本維新の会の「躍進」。公示前11議席から41議席への「4倍弱増」は「独り勝ち」。野党共闘が反自民の受け皿にしっかりとなりきれなかったせいで、コロナ対策「やってる感」の宣伝につとめた吉村副代表(大阪府知事)を前面にたてた維新の作戦が成功したのかもしれない。

しかし中身は「ゾンビ当選者」がウヨウヨ。なにせ、「惜敗率50%未満」で復活したのが8人もいるのだから。最たる例は徳島1区の吉田知代候補で、なんと惜敗率20・1%。維新「当選者」の惜敗率下位7人までが選挙区では次点にもならない。

 

 いずれにせよ立憲主義破壊・政治私物化の自公政権を退場させるには、地に足がついた野党共闘路線以外ないことを教えた衆院選挙ではあった。                                                                                            (編集部N)