ウクライナ戦争どうみるか、改めて考える                               2022年06月15日発行 №453

 


               (左)幼児救出するウクライナ兵士/(右上)撃破されたロシア軍戦車の残骸/(右下)民家にまで突入するロシア軍戦車


《巻頭言》

●プーチン政権動揺の兆し? ――泥船からの脱出はじめる取巻きも――

 

  「ウクライナとロシアの歴史的一体性」なるものを宣言し、ウクライナの「ロシア離れは許さない」とばかりに2月下旬に強行した「特別軍事作戦」。誰が見ても侵略戦争なのだが、「戦争」という言葉を発するだけで最長15年の「ブタ箱行き」の法律をつくって市民を恫喝するプーチン政権。戦況はかばかしくないなか「戦争反対」とでも叫ぼうものなら、秘密警察が飛んできて強権で弾圧する――

  

古い世代には何やら既視感のある光景だが、スターリン型独裁体制下のソ連社会そのものではないか? ソ連時代と異なるのは「社会主義」「共産主義」の防衛のためという古臭いウソに代わって「ロシア・ウクライナ・ベラルーシは一体」というプーチン型の似非歴史観のおしつけで近隣諸国への暴力的抑圧や侵略を「合理化」しようとしているところだ。

 

それにしても、暴走するロシア軍の前後見境のない軍事力の行使は「人間のする行為か!」という怒りをふつふつと呼び起こす凄まじいものだ。今や、戦況は時々刻々ネット通じて全世界に「同時中継」されるような「ハイブリッド戦争」。勿論、中には「フェイク・ニュース」も多々含まれているから、それぞれすべてをそのまま信じるわけにはいかないが、ロシア側が主張する「民間人は標的にしていない」とか、「黒海艦隊旗艦の沈没は事故」などといった粗悪な「フェイク・ニュース」は、片っ端からその正体が暴かれるような戦争のなかで、「大本営発表」的な情報はすぐに淘汰されてしまう。

  

そうした中で、普段はロシア応援団的なブロガーのなかから、ロシア軍の戦術のあまりの稚拙さに激しい批判が噴出している――という情報もきこえてきている。「包囲殲滅」戦術を多用するあまり、ウクライナ軍に待ち伏せ攻撃を仕掛けられ、格好の餌食にされているのだ(511日のドネツ川渡河作戦でウクライナ軍の集中砲火を浴び多数の戦車を川に落とし1個大隊約1000人がほぼ全滅している)。

 

5月下旬にはロシア側のウクライナでの戦死者がアフガニスタン侵攻(1979~89年)の死者数=約1万5000人を超え(英国防省推計)、ウクライナ政府も親露派戦闘員を含めロシア側の死者総数が約3万人と発表している。

  

こうしたなか、プーチン大統領の求心力の低下が進行しているようだ。プーチンの支持層の中から公然と戦争に反対するものも出てきている。

 「億万長者リスト上位20人のうち12人と個人的に話したが、全員が戦争に反対した」(某銀行家のラジオインタビュー)――。「現在の軍事行動には多くのロシア人が反対しており、自分もその一人だ」(投資会社経営者アンドレイ・ヤクーニン~父親はプーチンのKGB時代の同僚、元ロシア鉄道社長)――。

 

その他、戦争反対を表明して辞職、出国した政府高官が4人、ロシアを去ったオルガルヒ(新興財閥)も4人いるという。政府高官やオルガルヒの不審死も相次ぎ、1~5月末までに8人が死亡している(警察発表で「自殺」。うち3人は「一家心中」、4人が天然ガス大手関係者)。大義のない無謀な戦争の強行は、プーチンの足元を掘り崩しつつある。

                                                                      (編集部N)