「学問の自由」侵害に学会等650団体が抗議

      

                             2020年11月15日発行 №434


                    日本学術会議会員任命拒否に抗議して菅政権を糾弾(左)/菅義偉首相(右)


《巻頭言》

●米日首脳、(時間差で)枕並べ討ち死に

      ――米大統領選でトランプが敗北

 

 11月3日投開票されたアメリカ大統領選挙。このたびは事前の世論調査通り、民主党候補のバイデン前副大統領が共和党のトランプ大統領の再選を阻み政権を奪還した。

 

 ほぼ1週間をへた現在でも最終的な「勝敗」は確定せず、バイデンの勝利は「当確」段階。しかし、前回(2016年)民主党の牙城だったミシガンなどの中西部「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)をトランプに奪われたのが、今回は逆転で取り戻し最終段階で最大票田のペンシルバニアを僅差で奪還したバイデンの勝利はもはや疑いない。

 

 今回、このように最後まで混迷が続いたのは、「コロナ禍」による郵便投票の前代未聞の激増(3日時点、約6500万票)と開票作業の大幅な遅滞が原因だ。そのうえ、コロナ対策重視の民主党支持者が郵便投票に大量に走り、これを嫌うトランプ側が郵便ポスト削減などの姑息な手段を弄し、余計に集計が滞った。最終段階でバイデンが競合諸州で相次ぎ逆転したのは郵便投票が効いたからだった。

 

 けれども、トランプも黙って引き下がる様子はない。「不正投票があった」「選挙を盗むな!」と煽り、果ては武装した民兵集団まで「待機せよ」などと煽って危機意識を掻き立てたうえ、「これ以上の集計はやめろ」というとんでもない主張を繰り返した。しかし、「証拠」も示さず「不正」を訴えても、多くの裁判所から門前払いされ、いまや共和党内からさえ「負けを認めろ」との声があがる。かつてブッシュJr候補とゴア副大統領の「再集計」騒動の時は、まさに僅差だったのだが、今回は既にほぼ決着している。トランプの主張はサッカーの試合中に「ゴールポストを移動」させるに等しい。「往生際の悪さ」は際立っている。ここまでの悪あがきは、逆に哀れを誘う。

 

前回得票数を超える7000万票以上――それは半数にせまる数字だが――を獲得したトランプの敗北は、「トランプ現象」の終焉を意味するわけではないものの、その暴走に歯止めをかけただけでも、まずは大きな意味のあることだろう。

「アメリカ・ファースト」を掲げて「国際協調」主義を片っ端から否定し、パリ協定離脱や「イラン核合意」破棄で「オバマ路線」を破壊、「ディール外交」で他国に喧嘩同様の「交渉」を吹っ掛け、国際規範を打ち壊すことを旨とする彼一流の政治は、内政では新自由主義の「恩恵」から取り残された「白人中下層労働者」の味方づらをしながら、既存のエリート層への敵愾心を煽り立てたのだが、結局、その化けの皮がはがれた。

 

コロナ対策よりも「商売」、人命・人権より「治安対策」、環境保全より「経済成長」――こうしたトランプ政治の旋風は、アメリカ内外に大混乱をもたらしたが、ようやく「一服」したといえる。

 

 

それにしても、半年前に退陣した安倍晋三も今回敗北したトランプも、「政治の私物化」「人命・人権軽視敗」という属性はよく似ている。そして、「往生際の悪さ」も酷似していて、双方とも超一流だ。                                                                     (編集部N