国会前で連日抗議行動を続けた若者と熟年世代(2015年6〜9月)


No.412 今年こそ苦難の元凶・安倍政治に終止符を!


《巻頭言》 

 ●「戦後日本外交総決算」の大法螺

 

 「戦後日本外交の総決算」――。

 いかにも大仰な物言いだが、これは、1月4日、伊勢神宮に参拝した折の年頭記者会見で安倍晋三首相が実行すると「宣言」したもの。けれど国民に向けた「大法螺」にしか聞こえない。首相は本当に「総決算」するつもりなのか?

 

 彼の頭の中にあるのは、最大でももう1期3年弱しか居座れない自民党総裁・総理大臣の椅子に座っていられるうちに、「名を残したい」、「偉大な総理」という「実績」を何としても残したいという名誉心だけだろう。

 その最大のものが、「戦後民主主義」「平和主義」を根底で規定する9条を持つ日本国憲法の「改正」であることは間違いない。

 

 けれども衆参両院それぞれ3分の2の多数でしか改憲発議はできない。この夏に迫った参院議員選挙で引き続きその数を維持することは非常に困難になっていることは隠しようがない。(前回)2013年の参院選挙では、与野党勝敗の帰趨を決する「1人区」(31区)で自民が圧勝した(29勝2敗)が、当の自民幹部のなかから「勝ちすぎだった」という声が上がるほどで、次回(今夏)も同様以上の結果を出せると考える向きは少ない。

 しかもその直前に控えるのは春の統一地方選。この選挙で疲れ果てた実働部隊の動きが参院選の運動で鈍らざるをえないのは、公明党・創価学会だけではない。自民党地方議員もまたおなじなのだ。

 さらに、4~5月にかけては「天皇代替わり」に関わる「騒動」(行事)が連続し、与党の選挙準備も鈍らざるを得ない……等など。

 

 安倍晋三が「悲願」としてきた「改憲」は、国会の憲法審査会での審議さえ、まともにできない状況のなか、参院選前の発議などできる状況にないことは明らかだ。また、こうしたなかで「改憲発議」を許さない国民世論を押し切る度胸が、参院選を控える安倍晋三にあるとは考えられない。

 それで、「一枚看板」の「改憲発議断行」を諦めざるを得ないなか、「戦後外交の総決算」なる「見栄えの良さげな」スローガンを新たに持ち出して国民を欺瞞し、地方選・参院選で票を掠め取る目論見なのだろう。

 

 しかし「総決算」の一つ、「戦後外交のトゲ」とも言える「北方領土」問題は、「友好関係構築」をひけらかしてきたプーチンとの話し合いで打開できる秘策が、なにかしら安倍晋三にあるわけではない。首相は「歯舞・色丹2島先行返還」の幻想を振りまいてはいるものの、ロシア側に応ずる気配はない。またロシア側に、「北方領土」の返還に応じる法的義務は、なにもないのだ(本号 豊旗梢「歴史」参照)。

 

 昨年6月、歴史的な米朝首脳会談がおこなわれて朝鮮戦争の終結・半島の平和構築に向けた動きが進むなか、日本は一人「蚊帳の外」。しかも、「友好国」韓国との間で「徴用工」裁判問題が火を噴き、最近では日本海で韓国駆逐艦と海自哨戒機の「火器管制レーダー照射問題」が持ち上がる始末だ。日中関係もまだ微妙な状況。

 「戦後日本外交総決算」の基本は「戦争の歴史の清算」。安倍晋三にその覚悟はあるのか?

                                                (編集部N)