早くも馬脚露わした安倍亜流・菅義偉政権      

                             2020年10月15日発行 №433


                                             9月16日に発足した菅義偉内閣


《巻頭言》

菅首相、次は「忖度学者」製造へ?

        ――学術会議会員任命拒否事件

 

 菅義偉新首相の独裁政治ぶりが早速露わだ。日本学術会議会員任命拒否事件がそれだ。

 

 101日、政府から独立して政策提言をおこなう「日本学術会議」の新会員の一部を首相が任命拒否、会議が推薦した候補者105人のうち6人を除外したのだ(同6人は以下の通り。芦名貞道・京大教授=宗教学、宇野重規・東大教授=政治思想史、岡田正則・早大教授=行政法学、小沢隆一・東京慈恵会医大教授=憲法学、加藤陽子・東大教授=日本近代史、松宮孝明・立命館大教授=刑事法学)。

これら6人の中には安倍前政権時代に強行された安保法制や共謀罪法に反対の立場をとってきた学者も多い。

 

 日本学術会議法では、210人の会員(3年ごとに半数が任命)は同会議が候補者を選考し、その推薦に基づいて首相が任命することになっていて、2004年度の法改正以降、候補者を首相が任命しなかったのは初めてだ。

 

 先日、数々の悪行で国民世論の厳しい批判を呼び起こし退陣を余儀なくされた安倍晋三首相のもと、「裏の実力者・官房長官」としてアベ政治を取り仕切ってきた菅首相が、首相就任後最初に行ったこととして今回の事件は非常に象徴的だ。

 

安倍前首相が2012年12月に政権に返り咲いてから重視したのは官僚たちをコントロールすることで、145月に「内閣人事局」を設置し、中央省庁の幹部人事に内閣が介入する仕組みをつくった。その中心を担ったのが菅官房長官(当時)で、初代局長が現・官房長官の加藤勝信だったことは記憶に新しい。菅氏は「方向を決定したのに反対するのであれば異動してもらう」と権力の意向に「楯つけば飛ばす」ことを最近もあけすけに語っている。

 

 同時に彼が重視したのがマスメディア支配だ。記者会見時に鋭く政権に切り込む東京新聞の望月衣塑子記者への質問封じを続けたり、NHKで厳しい政権批判をおこなった国谷裕子氏を「クローズアップ現代」キャスターから降板させる圧力をかけたりと、陰湿で冷徹な攻撃をおこなってもいる。

 

 こうした結果、「官邸には逆らえない」という風潮をつくりだし、「忖度官僚」といわれる、政権上層部の意向のみを気にして動く風見鶏的官僚を大量生産し、「安倍一強」なる強権支配体制が築かれた。

 

「モリカケ桜」問題に典型的に示されているように、政権私物化のためには公文書を改竄させたり不法に破棄させることも辞さない。あげく下級官僚の自殺事件まで引き起こしても素知らぬ顔――それは安倍晋三だけでなく、菅義偉の顔でもあったし、今もそうだ。

 

 というふうに見てみると、今回の日本学術会議会員の任命拒否の持つ意味も、おのずと明らかになるだろう。「6人の任命拒否」について、政府は未だに何の説明責任も果たしていないが、それは「果たせない」からだろう。なぜなら、「政府の意向に逆らった過去があるから」などとは、口が裂けても言えないからだ。ことは憲法の問題つまり「学問の自由」の問題であり、民主主義の根幹にかかわる政治介入に他ならないからだ。

 

 戦前、「京大(滝川)事件」や「天皇機関説事件」で「学問研究の自由」が抑圧され共産主義に加えて自由主義思想まで大弾圧されたのち日本がどうなったか、改めて考える必要があるだろう。                                      (編集部N