安保改定60年-対米従属を改めて問い糾す      

                             2020年02月15日発行 №425


ヘリ空母「かが」艦上の日米両首脳(昨年5月、「令和」最初の外国元首として来日したトランプ米大統領と安倍首相


〈巻頭言〉

 ◉「盗っ人、猛々しい」――米軍駐留経費負担増の要求

 

 今年は日米安保条約が改定されて60年だ。対米従属思想が身に染みついている日本の支配層は、この条約が「永遠につづくもの」であって、「日本を守ってくれる」ものと信じて疑わない。この条約があるからこそ、日本は自衛力は持つものの危険な「武力行使」はせずに「盾」の役割に徹し、「矛」の役割はアメリカにたよって、それで「平和」を享受できるのだ――と考えてきたのだ。

 

 ところが、最近、海の向こうから「物騒な」声がとどろき始めてきた。安倍晋三らが真っ青になりそうな話だ。「トランプは日本との安保条約を密かに破棄すべく熟考中」(昨年625日、米ブルームバーグ通信)との配信や、またその翌日の「FOXビジネスニュース」インタビューでの次のようなトランプの発言だ。いわく「日本が攻撃されれば、アメリカは第3次世界大戦を戦い猛烈な犠牲を払うことになるが、アメリカが攻撃されて救援を必要とするとき、日本は(それを)ソニーのテレビで見物するだけだ」――。さらに、昨年12月には、トランプは“日本はもっとわれわれを助けるべきだ。われわれは日本の軍事基盤に大枚をはたいているのだから、とシンゾーに言った”と、NATO事務総長との会談で述べている。

 

 もちろん、こうしたトランプの言動が、彼一流のハッタリ・ビジネスの一環で、NATO諸国や日本にもっと米軍駐留経費を出させる恐喝ではあるだろうが、日本の支配層の内心が穏やかであるはずがない。このような主張は、今にはじまったことではなく、トランプの一貫した姿勢だからだ。彼は大統領選挙当時も、「日本は駐留米軍の経費を100%支払うべきだ。そうでないのなら、米軍は撤退する。そのかわり核武装を許してやろう」と発言していた。だから「経費負担」増額を拒否すれば、「ひょっとすると、トランプは本当に安保破棄にすすむかもしれない」と日本の支配層が恐れても、不思議ではない。

 

 けれども、よくよく考えれば、こうしたトランプの主張の前提にあるのが、“日米安保でアメリカは日本を防衛してやっている”“日米安保は日本防衛のための条約なのだ”という考え方だ。そして、これは、日本の支配層だけでなく、一般にもかなり「信じられている」考えだ。果たしてそうか?

 事実としてまず確認したいのは、在日米軍が「日本防衛のために出動した」ことは、ただの一度もない、ということだ。あるのは、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争、湾岸戦争、アフガン・イラク戦争など、日本を出撃基地とした数々の侵略戦争であり、「アメリカの利益」防衛のための出動だということだ。

 

このことに関して、東京新聞の半田滋氏はトランプ登場の際、「ミスター外務省」といわれた元事務次官/元駐米大使・村田良平氏の『回想録』の一節を次のように紹介していた。

――「(改定安保条約も)その本質において、米国が日本国の一定の土地と施設を占領時代同様無期限に貸与され、自由に使用できることを骨格にしている…。これらの基地の主目的は、もとより日本の防衛にあるのではなかった…」、「(駐留経費の一部)思いやり予算の問題は日本政府の『安保上米国に依存している』との一方的思い込みにより、その後無方針にずるずると増額してきたことにある」、「もはや『米国が守ってやる』といった米側の発想は日本は受け付けるべきではないのだ」――。

 

日本は既に米軍駐留経費として総額約6000憶円(約75%、昨年度)を支出。ダントツで世界最高額だ。トランプの要求はまさに「盗っ人猛々しい」‼(編集部N